夫が余命宣告を受けてから、1年半。
覚悟を決めて見送った後、私は一人になりました。
心の準備はできていたはずなのに、葬儀や手続きが一通り落ち着き、ふと手元の通帳を開いたとき、静かな緊張感が走りました。
「これからは、私一人の収入で生きていくんだ」
体力の衰えや仕事のプレッシャーを感じる中で、一人で迎える老後リスクが、漠然とした不安から「向き合うべき現実」へと変わった瞬間でした。
50代・単身。覚悟の上で突きつけられたお金の現実と、そこからどう歩み出したのかをお話しします。
遺された者として直面した「お金の計算」
夫を見送り、手続きを一通り終えたとき、ようやく自分の「これからの生活」に目が向きました。
実は生前、私たちは夫婦でお財布が別々。電気代や水道代、固定資産税などの固定費は夫が払い、日用品や雑費などを私が担当するというスタイルで暮らしていました。
そのため正直なところ、毎月の光熱費がいくらなのか、固定資産税が年間いくらかかっているのか、詳しい数字を全く把握していなかったのです。
いざ一人になり、請求書や口座を確認して初めて突きつけられた「本当の生活費」。
「毎月いくら入って、具体的にいくら出ていくのか」
「これらを全て、自分の給与だけで払っていけるのか」
知らなかった数字を一つひとつ紐解いていく作業は、これからの生活を自分一人の肩に背負うのだという、重い現実を実感する時間でもありました。
50代・単身で迎える「老後リスク」の真実
特に頭を悩ませたのは、定年までの年数と、その先の老後資金のことです。
50代になると、若い頃のように「もっと働いて稼げばいい」とは簡単に思えなくなります。体力の限界を感じる日も増え、職場で強いプレッシャーに晒される中で「いつまで今の働き方を続けられるだろう」という限界も感じていました。
会社員としての安泰に頼り続けることもリスク。
かといって、今すぐ無計画に辞めることもリスク。
「自分一人の体と一人の収入で、老後まで走りきれるのか?」というリアルな危機感が、日に日に大きくなっていきました。
不安を消すために「数字」を直視することから始めた
暗闇の中で一人で悩んでいても、不安は膨らむばかりです。
そこで私は、漠然とした恐怖から抜け出すために「全ての数字を書き出す」ことにしました。
今の自分の手取り収入
毎月絶対にかかる最低限の生活費
将来もらえるであろう年金の見込み額
現実を直視するのは少し怖さもありましたが、ノートに数字を落とし込んでいくうちに、「自分が本当に倒さなければいけない不安の正体」が少しずつ見えてきました。
一人の決断には責任が伴いますが、数字を知ることで、初めて「じゃあどうやって身の丈に合った暮らしを作ろうか」と前を向く準備ができたのです。
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