これは、とある地方の小さな会社で起きたハラスメントの記録だ。
特別な話ではない。
ニュースになるような事件でもない。
けれど、少しずつ人の心を削っていく言葉は、確かに存在した。
数年前、
ある男性社員2人が私の部署へ来た。
最初は、
「少しクセの強い人たちだな」
くらいに思っていた。
でも、
その空気は少しずつ職場を変えていった。
その2人は、
誰かの悪口でしか会話が成立しない人たちだった。
誰かの失敗を笑う。
いない人の陰口を言う。
気に入らない人を、
みんなの前で小さく傷つける。
毎日、
誰かがターゲットになっていた。
最初は周りも苦笑いしていた。
でも次第に、
誰も逆らわなくなった。
次は自分が標的になるかもしれないから。
そしてある時、
その矛先は私にも向いた。
仕事内容ではなく、
話し方や態度。
小さなことまで馬鹿にされる。
聞こえるように嫌味を言われたこともあった。
最初は、
「気にしすぎかな」
「私が悪いのかな」
そう思っていた。
でも、
毎日少しずつ心が削られていく。
会社へ向かう足取りが重い。
家に帰っても気持ちが休まらない。
職場なのに、
そこは安心できる場所ではなかった。
一番怖かったのは、
そんな空気に自分まで慣れてしまいそうだったこと。
誰かが傷ついていても、
見て見ぬふりをすること。
笑ってやり過ごすこと。
それが当たり前になりそうだった。
今だから思う。
あの頃の私は、
仕事がつらかったんじゃない。
あの空気がつらかったんだ。


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