プロローグ「息のできない職場」

これは、とある地方の小さな会社で起きたハラスメントの記録だ。

特別な話ではない。

ニュースになるような事件でもない。

けれど、少しずつ人の心を削っていく言葉は、確かに存在した。

数年前、
ある男性社員2人が私の部署へ来た。

最初は、

「少しクセの強い人たちだな」

くらいに思っていた。

でも、
その空気は少しずつ職場を変えていった。

その2人は、
誰かの悪口でしか会話が成立しない人たちだった。

誰かの失敗を笑う。

いない人の陰口を言う。

気に入らない人を、
みんなの前で小さく傷つける。

毎日、
誰かがターゲットになっていた。

最初は周りも苦笑いしていた。

でも次第に、

誰も逆らわなくなった。

次は自分が標的になるかもしれないから。

そしてある時、

その矛先は私にも向いた。

仕事内容ではなく、

話し方や態度。

小さなことまで馬鹿にされる。

聞こえるように嫌味を言われたこともあった。

最初は、

「気にしすぎかな」

「私が悪いのかな」

そう思っていた。

でも、

毎日少しずつ心が削られていく。

会社へ向かう足取りが重い。

家に帰っても気持ちが休まらない。

職場なのに、
そこは安心できる場所ではなかった。

一番怖かったのは、
そんな空気に自分まで慣れてしまいそうだったこと。

誰かが傷ついていても、

見て見ぬふりをすること。

笑ってやり過ごすこと。

それが当たり前になりそうだった。

今だから思う。

あの頃の私は、
仕事がつらかったんじゃない。
あの空気がつらかったんだ。

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この記事を書いた人

53歳の会社員。
お金、働き方、人生のこと。

答えを探しながら、
凪の森を書いています。

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