夫を見送ってから、まだ1か月。家の中の静けさにも、二人分から一人分になった食卓の風景にも、まだ心の奥が追いついていないのが本音です。
それでも、日々の暮らしは容赦なく続いていきます。手続きやお金の計算に追われながらスーパーのレジに立ったとき、ふと「食費がこれまでの半分近くになっているかもしれない」という事実に気づきました。
今回は、夫が亡くなって半月で実感した食卓のリアルな変化と、家賃0円の我が家で「これから一人で生きていくための見込みの家計簿」を解き明かしてみたいと思います。
手続きが一段落した夜、画面を開いて見つめた「一人で生きる現実」
手続きの書類や提出物の山が少し落ち着いた夜、静かなリビングでスマホを開き、普段使っている家計簿アプリ「マネーフォワードME」の画面を見つめました。
頭の中にあるのは、漠然とした「これから一人で食べていけるのだろうか」という不安です。
不安を消す唯一の方法は、目を背けずに現実を「具体的な数字」に落とし込むこと。
そこでアプリのデータを眺めながら、夫がいた頃の生活費と、一人になったこれからの生活費を一つひとつ比較してみることにしました。
「食費上がっただろ」——夫がくれていた月6万円と、これからの食費
食費が大きく減りそうだと気づいた理由を考えてみて、真っ先に思い浮かんだのは毎日の食事作りの風景と、夫のさりげない優しさでした。
二人の頃は、夫の毎日の「お弁当」と、夜の「晩酌用のおつまみ」が欠かせませんでした。肉が大好きで野菜が苦手だった夫。少しでも体に良く、おいしいものを食べてもらいたくて、私はいつも国産の良いお肉を選び、カゴいっぱいに買い込んでいたのです。
一方の私は、野菜とお魚が好き。結局、夫用と自分用でいつもメニューを別々に用意していました。
昨今の物価高で買い物の金額が増えていたとき、夫は「食費上がっただろ」と言って、毎月数万円をそっと渡してくれていました。二人の頃の食費は毎月10万円近くかかっていたと思います。
一人になった今、夫のお弁当もおつまみも作る必要がなくなりました。スーパーで買うのは、自分が食べる少量の野菜とお魚、そして定番の豆腐や卵くらいです。
まだ半月なので実際の1か月分は分かりませんが、今のペースなら食費は半分ほどの「約5万円」になりそうだし、もしかしたらもっと減るのかもしれません。
「おいしいものを食べてほしい」と工夫していた時間も、夫が「上がっただろ」と渡してくれていたあのお金も、すべてが夫の愛おしい思い出であり、食費の大部分を支えてくれていたのだと気づかされました。
お財布は別だったけれど……気づかされた「守られていた」という事実
食費と並んで我が家の家計を強力に支えてくれているのが、「住居費がかからない」ということです。
田舎の一戸建てで、幸いにも住宅ローンはすでに完済済み。家賃の支払いは当然「0円」です。
さらに、将来の家の修繕費についても、夫がしっかり「生活防衛費」として資金を残してくれていました。
夫婦でお財布は別々に管理しているつもりでした。
けれど、マネーフォワードMEの画面や銀行口座を紐解けば解くほど見えてきたのは、「結局、ほとんど夫が出してくれて、私を守ってくれていたんだ」という動かしがたい事実でした。
【内訳公開】手取り22万円・生活費「実質15.5万円」のリアルな数字
現在、会社員としての私の手取り収入は約22万円。
夫を見送って半月の実感と、実際の固定費をもとに弾き出した「一人暮らしのリアルな月間支出(見込み)」を書き出してみました。
| 費目 | 1ヶ月の支出(見込み) | 備考 |
| 住居費 | 0円 | 住宅ローン完済済み |
| 食費 | 50,000円 | 夫のお弁当・つまみ・お肉分が減り半減(今後要見極め) |
| 水道光熱費 | 13,000円 | 田舎の一戸建て(季節変動あり) |
| 通信費 | 7,000円 | スマホ+Wi-Fi |
| 日用品・雑費 | 8,000円 | ドラッグストア等の買い物 |
| 固定資産税・車両保険等 | 15,000円 | 年払いの税金や車両保険(年3万)の月換算 |
| 教養・娯楽・美容 | 30,000円 | 自分を労わる大切なお金 |
| 予備費・交際費 | 32,000円 | 急な出費や孫費用など |
| 合計 | 155,000円(15.5万円) | ゆとりを持たせた見込み生活費 |
※夫を見送って半月時点での実感をもとにした試算です。実際の1か月分はこれから暮らしながら見極めていきます。
手取り22万円に対して、見込みの生活費は「実質15.5万円」。
毎月「約6.5万円」がしっかりと手元に残る計算になります。
夫が残してくれたローン完済の家、修繕費、そして毎月届けてくれていた食費のサポート。それらすべてが私の支出を抑える強固な土台になっていたからこそ、私自身の給料だけで十分にゆとりを持って自立していけるのだと、心から実感できました。
お金の輪郭が見えれば、心はもう揺らがない
「一人で生きていけるだろうか」という漠然とした恐怖は、こうしてマネーフォワードMEで数字の輪郭をはっきりさせることで、すっと薄れていきました。
別々だと思っていたお財布の向こうで、夫はずっと私を大きく包み込んでくれていた。そのおかげで、今の私は自分の手取りの範囲内で、まずは倒れずに暮らしていける「第一歩の足元」が整ったのだと感じます。
暮らしのベースが見えたことで、次に新しい問いも湧いてきました。
「削るだけの生活ではなく、自分をご機嫌にするためのお金はどう使う?」
「そして、これから先の未来、私の年金や働き方はどう考えていけばいいのだろう?」
悲しみを抱えながらも、一つひとつ自分の足で歩みを進める日々。
次は、ただ節約するだけではない、50代の一人暮らしを心地よく過ごすための「メリハリ家計」について整理してみたいと思います。
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