私が乳がんの手術と放射線治療を終えて、一年ほど経った頃だった。
母が「胸にしこりがある」と言い出した。同じ頃、母の妹である叔母も乳がんであることが分かった。
私はすぐに母へ検査を勧めた。
検査の結果、母も乳がんだった。
私は自分の主治医に相談し、母も同じ先生に診てもらえないかお願いした。
主治医は快く引き受けてくださった。
「ぜひ、うちで手術をしましょう。私が執刀します」
その言葉を聞き、胸をなで下ろした。
母も私と同じように、術前検査を受けることになった。
検査の流れも、診察を受ける場所も、すべて一年前に私が通った道だった。
私は母の前を歩き、母はその後ろをついてきた。
その姿を見て、ふと思った。
「小さくなったな」
子どもの頃は大きく見えた母が、いつの間にか私の後ろを歩いていた。
母は、全摘にするか、部分切除にするか、乳房再建をするか、最後まで悩んでいた。
叔母は全摘手術と乳房再建を選んでいた。体のバランスを考えて決めたと聞いていた。
母は何度も考えた末、全摘手術を選んだ。全摘であれば放射線治療を受けずに済むと聞いたことが決め手となり、乳房再建は年齢のこともあって受けないことにした。
私が放射線治療で入院していた頃には、すでに新型コロナウイルスの影響で病院の面会制限が始まっていた。
付き添いや面会はできず、荷物を届けられるのもナースステーションまでだった。
母が入院したときも状況は変わらなかった。同じ病院にいても、付き添うことも、お見舞いに行くこともできなかった。
母は無事に手術を終え、退院した。
まさか親子で同じ病気になるとは思ってもいなかった。
このときはまだ、その後、自分が遺伝子検査を受けることになるとは思ってもいなかった。
家族が乳じあんと診断された時や、同じ病気に向き合う方へ
(この経験から伝えたいこと)
自分自身だけでなく、身近な家族も同じ病気であると分かった時のショックや不安は、言葉にできないほど大きなものです。
- 経験を共有し、主治医に相談する選択肢: ご自身がすでに経験した病院や主治医であれば、検査や治療の流れが分かっているだけでも大きな安心材料になります。信頼できる先生に相談できる環境があるなら、遠慮なく頼って大丈夫です。
- 家族それぞれの治療の選択を尊重する: 全摘か部分切除か、再建をするかしないかなど、年齢や価値観によって選ぶ道は人それぞれ異なります。同じ病気であっても、本人が納得して選べるよう、お互いの選択を尊重し支え合うことが大切です。

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