放射線科へ移動すると、担当医から放射線治療について詳しい説明を受けた。
まず説明されたのは、一般的な乳がんの放射線治療だった。手術をした乳房全体に放射線を照射する方法で、平日に毎日通院し、それを数週間続けるという内容だった。
手術は終わったが、治療はまだ終わらない。その現実を改めて感じた。
そのあと、もう一つの治療法として紹介されたのが「SAVI」だった。
私はその日まで、その名前を聞いたこともなかった。
SAVIは、乳房全体ではなく、がんを取り除いた部分だけに放射線を当てる治療法で、治療期間を大幅に短縮できる可能性があると説明を受けた。
仕事を続けながら治療を受けなければならない私にとって、その短い治療期間はとても魅力的だった。
説明を聞いて、一番驚いたのは治療の方法だった。
私は、放射線治療といえば機械を当てるだけだと思っていた。ところがSAVIは違った。
乳房の下側を切開し、五色ボールペンくらいの太さの器具を挿入する。そして、その器具を入れたまま約二週間過ごすという説明だった。
正直に言うと、驚いた。
ただ、私の場合は年齢やがんの状態などの条件を満たしていたため、この治療を選択できると説明を受けた。
当時はまだ新しい治療法で、実施している病院も限られていた。それだけに、不安がなかったと言えば嘘になる。
一方で、治療は入院で行う予定だったため、その点については安心感もあった。
会社への報告は気が重かった。
手術が終わり、「もう治療は終わる」と思われていた時期だったからだ。
会社に事情を説明すると、会社は入院について了承してくれた。しかし、周囲からは「え、また入院?」「何のため?」「取り残しがあったの?」と聞かれた。
これは、がんになった人でなければ、なかなか分からない感覚なのかもしれない。
手術が終われば治療も終わりだと思われることが多い。でも実際には、病理検査の結果を待ち、その後に放射線治療や薬物療法が続く人も少なくない。
だから、「また入院?」「まだ治療するの?」という言葉を聞くたびに、自分だけが取り残されているような気持ちになった。
悪気のない一言だと分かっていても、その頃の私には少しつらかった。
それでも、仕事を続けることを考えると、治療期間を大幅に短縮できるSAVIは、とても魅力的な選択肢だった。
不安はあった。しかし、それ以上に「今の生活をできるだけ崩さずに治療を終えたい」という思いが強かった。
私はSAVIで治療を受けることを決め、入院の日程を調整することになった。
新しい治療法の提案や仕事との両立に悩む方へ(この経験から伝えたいこと)
手術が終わったあとに「さらに放射線治療や別の選択肢がある」と告げられると、精神的にもスケジュール的にも大きな負担を感じるものです。
- 治療期間や方法を比較して検討する: SAVIのように期間を短縮できる治療法など、選択肢がある場合は、自分のライフスタイル(仕事や家庭の事情)に合わせて主治医とメリット・デメリットをしっかり相談することが大切です。
- 周囲の言葉に傷ついたときは: 「まだ治療するの?」といった悪気のない言葉に心が折れそうになることもありますが、ご自身の体と治療を最優先に考えて大丈夫です。無理にわかってもらおうとせず、心を休める時間を大切にしてくださいね。

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