夫は自分なりの信じるものを持っている人だ。
ご先祖さまを大切にする。
六星占術も信じている。
けれど、流行りのものに飛びつくタイプではない。
恵方巻を食べるような人でもなかった。
そんな夫が、その年の節分は恵方巻を買ってきた。
乳がんが見つかり、不安な日々を過ごしていた頃だった。
夫が言った。
「きっとよくなる。」
そして、
「初めてだけど、恵方巻を食べよう。」
方角まで調べていた。
めんどくさがり屋の夫が。
「こっちを向いて。」
「黙って食べるらしいよ。」
そんなことを言いながら準備していた。
私はその姿を見ながら、
少し可笑しくて、
少しうれしかった。
きっと本人は大したことをしたつもりはない。
でも、縁起なんて気にしない人が、
私のために方角を調べていた。
今思えば、
あれが夫なりの応援だったのだと思う。
あの年の恵方巻の味は覚えていない。
でも、
二人で黙々と恵方巻を食べた、あの時間は今でも覚えている。
きっと、一生忘れない。
家族のサポートを受け取るために(この経験から伝えたいこと)
病気になると、周りの家族も「何かしてあげたいけれど、どうすればいいか分からない」と無力感を感じていることがよくあります。
- 不器用な優しさに気づく: 直接言葉にならなくても、見えないところで願ってくれたり、行動で示してくれたりする家族の不器用なサインを見逃さないでください。
- 「ありがとう」と言葉にする: どんな小さなことでも、感謝を伝えることで、支える側の家族も「役に立てている」と救われることがあります。

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