会社に乳がんだと伝えると、最初に聞かれたのは「いつまで休むの?」だった。そして次に聞かれたのが、「抗がん剤はするの?」だった。
いろんな人から同じ質問をされるうちに、「心配しているふりしてるけど、要は仕事の心配だろ。」と叫びたい気持ちだった。だが、さすがにそれは言えず、
「まだ分からないんです。」
それしか答えようがなかった。
すると上司は、「え?」というような表情をした。でも、この「まだ分からない」という状況は、実際にがんになった人でなければ理解できないだろう。
抗がん剤が必要かどうかは、手術で取り出した組織を詳しく調べてみないと分からないと言われていた。
主治医からこの説明も納得できなかった。
「組織を取って、がんだと分かったのに、どうして抗がん剤が必要かどうかは分からないの?」
私は本気でそう思っていた。
当時の私は、「乳がんになったら抗がん剤をするもの」と思い込んでいた。
だから、髪が抜けること、副作用のこと、仕事のこと。見えない未来を、一人であれこれ想像していた。
正直、周りの人から聞かれるたびに、「それは私が一番知りたいわ」と心の中で思っていた。
病気になると、「これからどうなるの?」という質問が増える。でも、その本人にも分からないことが多い。
分からないまま検査を受け、分からないまま手術の日を迎えた。
あの頃の私は、ただ不安と焦りしかなかった。
答えが分かるのは、手術が終わってからだった。


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