部屋に戻ると、ベッドへ移された。体にはまだ管がついたままで、そのまま眠った。
翌朝、目が覚めると、思っていたほど痛みはなかった。検温のあと、体につながっていた管が抜かれ、ようやく自由に動けるようになった。
初めて傷口を見たときは、「こんなものなんだ」と思った。想像していたほど大きな傷ではなかった。数日後には、「乳がんって、こんなにあっさりしたものなのだろうか」と感じるほど回復していた。
シャワーは胸から下だけだったため、髪は看護師さんに洗っていただいた。「美容師さんみたいですね」と伝えると、「患者さんが少しでも快適に過ごせるように勉強しているんです」と笑顔で答えてくださった。その言葉は、今でも忘れられない。
痛みは思っていたほど強くなく、食事も普段どおり食べることができた。手術前はあれほど不安だったのに、入院生活は想像していたより穏やかに過ぎていった。
退院の日を迎え、病院をあとにした。退院後は会社にも復帰したが、「抗がん剤はするの?」と聞かれても、「まだ分からない」と答えるしかなかった。
手術は終わった。思っていたよりも、入院生活はあっさりと終わった。
でも、本当の意味では終わっていなかった。
私を待っていたのは、病理検査の結果が出るまでの長い一か月だった。

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