乳がん番外編⑤ 本当に入りたかった保険はGLTDだった

GLTDが会社に導入されたのは、私が乳がんになった翌年だった。

説明を聞いた瞬間、

「こんな保険があったのか。」

と思った。

そして、すぐに「これは入りたい」と感じた。

しかし、その時点で私は加入できなかった。

がん保険は、診断されたときの経済的な支えになる保険である。

一方、GLTD(病気やケガで長期間働けなくなったときの収入を補償する制度)は、働けなくなった後の生活を支えるための備えだった。

乳がんを経験した私には、その違いがよく分かった。

治療費は、高額療養費制度やがん保険のおかげで、大きな不安なく治療を受けることができた。

しかし、もし長く働けなくなっていたら。

不安だったのは、治療費よりも、その後の生活だった。

だから私が本当に備えたいと思ったのは、GLTDだった。

加入している同僚を見るたびに、「いいなあ」と思っていた。

もし乳がんになる前にこの制度を知っていたら、迷わず加入していただろう。

ホルモン療法が終わり、一年が過ぎた頃。

そろそろ加入できるかもしれないと思い、保険会社へ問い合わせた。

告知内容には、「過去2年間に投薬を受けていないこと」「がんの診断を受けていないこと」などの条件が記載されていた。

乳がんと診断されたのは5年前。

タモキシフェンも終了し、今は年に一度の経過観察だけになっていた。

「これなら大丈夫かもしれない。」

そう思っていた。

しかし、私が問い合わせた結果、返ってきた回答はこうだった。

「年に1回でも、がんの経過観察のために通院・検査をしている場合は、お引き受けできません。」

私は、

「一般的ながん検診と同じようなものですが、それでも難しいですか。」

と尋ねてみた。

しかし、回答は変わらなかった。

「再発確認のための通院・検査が続いている場合は、お引き受けできません。」

電話を切ったあと、仕方がないとは思った。

保険会社には保険会社の引受基準がある。

その基準に従った結果なのだろう。

それでも、少しだけ残念だった。

乳がんになって分かったのは、私が本当に怖かったのは、「がん」そのものではなかったということだ。

働けなくなり、収入が減ること。

私にとって、本当に備えたかったのは、その不安だった。

だから、がん保険を解約したことに後悔はない。

あの保険は十分に役目を果たしてくれたし、心から感謝している。

一方で、GLTDだけは今でも「入っておきたかった保険」として心に残っている。

病気を経験したことで、私の保険に対する考え方は大きく変わった。

保険には、それぞれ役割がある。

私にとって、がん保険は治療を支えてくれた保険だった。

そしてGLTDは、働けなくなったときの生活を支えるために、本当に備えたかった保険だった。

残念ながら、その備えを持つことはできなかった。

それでも、この経験があったからこそ、自分にとって本当に必要な備えは何なのかを考えるようになった。

がん保険は、治療を支えてくれた。

GLTDは、働けなくなったときの生活を支える保険だった。

病気は、私の保険の見方を変えてくれた。

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この記事を書いた人

50代会社員。
お金、働き方、人生のこと。

答えを探しながら、
凪の森を書いています。

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