治療が終わった頃、私はがん保険を解約した。
きっかけは、保険料だった。
加入していたがん保険は、5年ごとに保険料が上がる仕組みだった。ちょうど値上がりの時期を迎え、このまま続けるかどうかを考えることになった。
診断給付金200万円は、結果としてほとんど使わずに治療を終えることができた。
それでも、あのお金があるという安心感は、治療中の私にとって何より大きな支えだった。
一方で、実際に乳がんを経験したことで、高額療養費制度の仕組みや、治療費がどのようにかかるのかも知ることができた。
保険があったから安心して治療を受けられた。
そして治療を終えた今、その役目は終わったのだと思えた。
最後のPET-CT検査を終え、ホルモン療法も終了したタイミングで、私は保険会社へ電話をかけた。
電話口の担当者はこう言った。
「今解約すると、もう二度とがん保険には入れませんよ。本当にいいんですか。」
もちろん、その意味は分かっていた。
それでも、私の気持ちは変わらなかった。
「はい。お願いします。」
そう伝えて、がん保険を解約した。
この選択が正しいかどうかは、人それぞれだと思う。
年齢や家族構成、貯蓄額、考え方によって答えは変わる。
だから、誰かに解約を勧めたいわけではない。
ただ、私にとっては、この保険は十分に役目を果たしてくれた。
診断された日から治療が終わるまで、お金の不安を大きく減らしてくれた。
その安心があったから、お金ではなく治療を基準に選ぶことができた。
だから今でも、あの保険には心から感謝している。
役目を終えた保険を、感謝しながら見送った。
そして今も、その判断を後悔していない。

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